しかしながら、その当時の強烈な悔しさが消えず、冷静さを欠いて書き損じてはいけないと思って、今日まで延ばしていた。
その当時、といっても一昨年頃の話だが、わざわざ県外のかなり遠方から紹介されて直接来局された60代の女性の慢性関節リウマチの患者さんである。
当時からその某県のリウマチ患者さんを何人も緩解に導いている実績から、紹介されたもので、当方で最も多く扱うパターンに嵌っていたので、漢方薬配合にもそんなに苦労はなかったのである。
すでにステロイドは常用中で、次第に効果が減じてそれだけでは疼痛があまり緩解しなくなっていたので、漢方薬をもとられたわけだが、同時にステロイドによる糖尿病と胃潰瘍も併発しており、そちらのほうの漢方薬も並行してお出しして、比較的すみやかに軽快しつつあった。
開業医の主治医の先生には漢方薬は内緒だったそうだが、その先生から紹介されていた糖尿病と胃潰瘍を診てもらっていた開業医の先生のところでは、漢方薬のお陰で、すべての症状が、急速に緩解しつつあることが嬉しくて、そのことを打ち明けたところ、勝手なことをしてはいけない、即刻、漢方薬を中止するように強く勧告されてしまったというのであった!
これが当方の地元の患者さんであったなら、このような理解に苦しむ医師の発言は滅多に見られないことだが、遠い県外のこととて、当方の薬局名を出したところで、何の効果もないだろう。
これが地元との大きな違いで、残念でならないが、その患者さんは開業医の先生の勧告に従って、止むを得ず漢方薬を完全に中止してしまって、その後は音信不通である。
何度も書くように、こんなことは地元ではありえない。
多くの主治医の先生方は喜んで下さり、その患者さんに漢方薬を勝手に中止しないように、とさえ応援してくれるほどである。
こういう無理解なお医者さんたちのことを、薬剤師の立場から長く遠慮して、これまで秘して来たことも多いが、当方もいい年で、行く末の短いことを考える時、言えるべきときに、あるいは書ける時にしっかり書いておくべきだと考えて、敢えて事実をそのまま記すのである。
どうしてここまで、漢方薬に無理解な先生方がおられるのか、実に不思議でならない。
患者さん御自身があんなに喜んでおられるのに、もう少し配慮があっても良さそうに思うのだが、どうしてだろう?
何度も繰り返すように、こんなことは当方の地元ではあり得ない事である。
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