それよりも、いまだに忘れられない役立たずだった苦い思い出ばかりが、折々に思い出されるのであった。
いずれも随分昔のことで、数十年前といった漢方入門当初のことばかりだ。
耳鳴りならぬ頭鳴になやむ初老の男性が、根気良く10日ごとに通われて、病院治療で何をしても無効だから、何とかして欲しいと頑張って下さるが、一向に有効な漢方処方が見出せない。
男性は苦しさのあまり、相当に強い睡眠薬をお医者さんにもらって服用する毎日でもあったが、肝心な頭鳴はひどくなるばかり。
突如、奥様から訃報を聞いたのは間もなくであった。
死因は自殺。
次に、重度の鬱病患者さんをご近所の皆さんが心配されて連れてこられた。
初めての方に今では絶対にしない30日分という大量の煎じ薬をお出しした。
請われるままに利益に頭が行っていた。
処方は「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」だったが、その日のうちに自殺してお亡くなりになった。
当方からお出しした漢方薬は一度も服用しないままだったのが、せめてものこと。
いや、もしも服用して下さっていたら、あるいは自殺を思いとどまってくれていたかも知れない。
ご本人にはお気の毒で申し訳ないことではあったが、この煎じ薬を一度でも服用されてのことだったら、一生涯もっと苦しんでいたかも知れない。
この歳になって、しきりに思い出される。
仕事に疲れてぼんやりしているときに、突然、この方達のことが頭に浮かんで来る。
だから、今度生まれかわったときには、絶対に「医薬関連」の仕事はやるまいと強く決意している。
といいながらも、漢方しかノウがないから・・・・と今生と来世を混同した思考の矛盾を繰り返すばかりだった。
もしかすると、いま、自分自身が鬱病に陥りかけているのかと思ったりもするのだった。
ラベル:憂鬱
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