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2006年04月26日

肺細胞癌ステージ4患者さんに出された柴胡桂枝湯と人参養栄湯についての御質問

御意見や御質問 : 肺細癌のステージ4と去年の年明けに診断されまして、抗がん剤治療と骨に転移があるのは放射線治療をしてきました。

 それとは別にサイコケイシトウとニンジンヨウエイトウを処方されて飲んでいますが、この処方が自分に合っているのか心配です。
 自分自身は身長175センチで体重は100キロありがっちり型で体力はあります。
 冷え性ではありませんがおなかの調子は悪いほうです(下痢気味が多い)

 最近気管支炎みたいな感じが多く強く息を吸うと咳が出やすい感じです。胸やけに似た症状もでています。

お返事メール:拝復

 漢方薬はその人、その人の体質によって適切な方剤を選択しないと、微妙に不愉快な反応を示す場合もあり得ます。

 合成医薬品ほどの強い副作用がでることはほとんどあり得ませんが、不適切であれば、胸焼け程度のことは生じる場合もあり得るものです。

 冷え性ではなく体力があるとみずからおっしゃるくらいの体質であれば、もしかすると現在服用中の柴胡桂枝湯と人参養栄湯の組み合わせは、貴方にとって温め過ぎている可能性もあります。

 第一、朝鮮人参や桂皮という温性の生薬がダブっている為、なおさら温補過剰になってしまう場合もあり得ます。

 温補というのは文字通り、身体を温めて栄養を補うといった意味です。

 なんでも過ぎたるは及ばざるが如しで、きっと放射線などの副作用軽減に朝鮮人参などを含有した人参養栄湯などが有効であるというエビデンス的な言い伝えから貴方にも使用されたものと思いますが、漢方薬というものは病名治療やエビデンスはなかなか通用しないものです。

 文面だけから拝察しますと、上記の理由から、貴方には温補の薬物がやや多過ぎるのかも知れません。

 桂皮や朝鮮人参などそのほかにも配合されている当帰などの温補がやや過剰になると、肺は嬌臓(きょうぞう)=デリケートな臓器ですので、それでなくとも肺細胞ガンゆえに、却って温性の生薬類がやや刺激となって肺熱を誘発することもあり得ないことではないのです。

 といっても、間違った時の合成医薬品ほどの激しい副作用が生じることはないでしょうが、もしも不適切な漢方薬の配合であった場合は、むしろ服用しないほが調子がよいのかな?という微妙なところをご自身が自然に感じる場合が多いものです。

 もしも適切な配合であったら、服用しないよりも服用していたほうが、明らかに、あるいは何となくでも効いてくれているなと感じられることが多いものです。

 温暖な●●地方でもあり、また近年食糧事情や暖房設備の充実した日本においては、過剰な温補剤は、却って肺熱を生じさせる原因にもなっていることもありますので、お近くの漢方専門の医師が見つからなければ、ベテランの漢方専門薬局で、しかも中医学・薬学に堪能な先生に出向かれて直接指導を仰ぐのがよいかもしれません。

 中医学の法則としましては、舌の状態において赤味が強く、舌の苔に黄色が見られる場合は、柴胡桂枝湯と人参養栄湯の配合は明らかに間違い、ピントが大きくずれている証拠となります。

 以上、お送り頂いた文面だけで推測させて頂きましたので、あくまで推測であるということをお含み頂き、上記の舌の状態で判断する方法は、かなり正確な鑑別になるかと思います。

 以上、簡単ながらお返事まで。

漢方薬・漢方専門薬局薬剤師の憂鬱の薬剤師より
posted by ヒゲジジイ at 09:02| 山口 ☔| 医師によるツムラ漢方など医療用漢方薬の誤投与問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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