原発巣は完全に消滅したものの、肺の下部に小さな転移巣がみられていた。
西洋医学的にも治療困難な状態だから、少しでもQOL向上の為に、漢方薬類の勢いを借りて、もっともっと長生きできるのではないかという期待があったが、突然亡くなられたというご家族の御報告。
体力をしっかり維持していることから、肺の転移巣に対する抗癌剤を2年後にはじめて行った抗癌剤点滴治療時の副作用の出方が尋常ではなかった。
ところがその1年後には、また体力もしっかり戻ったので、ご本人もやや躊躇されるところもあったものの、再度の大学病院の強い奨めに従ったことが、結果的にはまったく裏目に出てしまった。
原発巣は放射線治療でほぼ消滅したまま、その前から漢方薬類もはじめており、副作用も目立ったものは何も出ず、途中再発しかかった原発巣も経過観察中にいつのまにか消退したほどで、最後まで原発巣からの再発はみられなかった。
しかしながら、二度目の抗癌剤以降に、突然に脳転移を生じてあっという間だった。
ほんの一ヶ月前まではいつもの機智と諧謔に富んだ演説をされてお元気に帰られていた後姿からは信じられない出来事で、これを書けるまでの気力を取り戻すのに一週間近くかかってしまった。