挙句にステロイド内服も併用するも、一時的な効果に終わり、とうとう七月の終わりになってたんぱく質を摂り過ぎたのか、急に悪化した土曜日。通っている皮膚科は休みなので、親しい内科に行って点滴をしてもらったらやや軽くなった。
そのときに出されたのが医療用のツムラ五苓散(ごれいさん)エキス。二回目までの服用では問題なかったが、三度目を服用した頃から、服用する都度暑く火照り、ますます蕁麻疹が広がってきた。今朝は全身に広がり頭や額にまで出てきたとて、とうとう小生のところに相談にかけつけた。
随分前に、お嬢さんの寒冷蕁麻疹を当方の漢方薬で治ったことがあったのを思い出したのだという。
皮膚科の医師には、こんなに治らない蕁麻疹は食事などが原因ではない。精神的なストレスが原因であると断言されているとのことである。
しかしながら、あきらかな湿熱の兆候を呈している舌の状態(黄膩苔)があるのだから、まず茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)が頭に浮かんでもいい筈だ。
あれだけ医療用を宣伝しているのに、五苓散や小青竜湯ばかりが医療用ではないはずである。五苓散には腎陽を温め経脈を温通する桂皮が入っているので肝胆の湿熱がますます助長して、この人の場合、蕁麻疹がさらに悪化しても悪いのは五苓散ではなく、五苓散を投与するほうの問題である。
時代の流れか、とうとう漢方専門薬局は医療用漢方誤投与の救済機関となり下がって(成り上がって?)しまったのか?!
しかしながら、このような現実をブログに書き続けるのは間違っているのだろうか?
小生の後継者に薬剤師はおらず医師ばかりである。医師である愚息や愚娘にとってはうるさいオヤジが、また余計なことを書いてくれたとはた迷惑かもしれないが、現実にしばしばあることだから、あの世に行く前の置き土産として困った現実を書き残しておくことも、少しは世の中の為になるのではないだろうか?
比較的安全な漢方薬だからといっても、基礎理論をないがしろにした投与は、病状を却って悪化させることだって珍しくないのである。
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