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2012年01月06日

常習的な下痢症の人に防風通聖散を投与する無謀!

性別 : 女性
年齢 : 30歳〜39歳
御職業 : 医薬品製造・研究開発
御意見や御質問をどうぞ :はじめまして。
 まだ少ししか読んでないですが、勉強になりそうなので、もっと読んでみたいと思います。
 私も一応、薬剤師です。メーカー勤務のため、ペーパーですけど。現在、胃痛と下痢のため、内科に通院中です。
 重要な疾患は今のところ認められないため、対症療法として、H2ブロッカー、他の胃薬、整腸剤、頓服の下痢止めなどを飲んで、様子を見ているところです。
 胃痛も下痢も、たぶん、ストレスからかな、と自分では思っているところです。薬を飲んでいる分には楽になるので、こちらの処方に関しては問題なしです。

 別に、膝の痛みにより整形外科に行ったところ、腱の炎症ということでした。関節炎の効能があり、むくみにも効く「防已黄耆湯」を処方されました。下痢気味で水をためやすい性質ですから、この薬は一緒に飲んで大丈夫だなと思いました。

 その次の診察の際、体重を落とす必要があるから、と言われ、(私、太り気味ですので)「防風通聖散」を追加で処方されました。

 前置きの説明が長くなりましたが、この2種の漢方薬は一般に併用するものなのでしょうか?(虚証に対する薬と実証に対する薬という意味で)また、「防風通聖散」は便秘気味の人に便をやわらかくして出す効果がありますが、もともと下痢を薬で抑えているのに、この薬を飲むのは抵抗があります。
 処方した整形外科医にも下痢の治療中であることは伝えてあり、再度、確認しましたが、ひどくてしょうがないようなら、また考えましょう、ということでした。
 とりあえずの処方だとしても、あまりに強引な処方で、結果は明らかだと思えるし、実際、整腸剤で楽になっていた下痢がひどくなりました。

 頓服でもらっている下痢止めを飲むか飲むまいか迷うところです。次回の整形外科診察時には、下痢がひどくなった旨を伝えるつもりですが、今後もなんとなく不安です。
 適応症だけを見て漢方薬をいくつも処方される医者なのかと思ってしまったので。
 こういう場合、内科医にも相談すべきでしょうか?ちょっと困ってます。薬局で相談しても、結局、医者がいいって言ってるんならいいでしょう、みたいな対応されちゃいますよね。(以前、そんなことがあったのです)誰に相談してよいものかわからず、ネット検索でここにたどり着きました。お時間ありましたら、お答えいただけるとうれしいです。

お返事メール:拝復

 頂いた文面を拝見しただけでも十分、不安を抱かれるお気持ちを察することが出来ます。
 要するに、貴女のような体質に防風通聖散を投与するのは、明らかに誤投与です。文面どおり把握すれば、貴女のように「水をためやすい」という水毒体質であれば、その「太り気味」の原因が、いわゆる「水太り」の可能性も高いわけですから、防已黄耆湯だけで十分な筈です。

 過ぎたるは及ばざるが如し、といわれる格言を通り越して、貴女にとっては明らかな誤投与。常習的に下痢をされる人に、大黄(だいおう)のみならず芒硝(ぼうしょう)=硫酸ナトリウムが配合された防風通聖散を投与するなどとは、漢方と漢方薬を正式に学んだ専門家であれば、決してあり得ないことです。

 このような無謀な漢方処方の投与は、近年医療用漢方がテレビでも盛んに宣伝されるようになったのに並行して、加速度的に増すばかりで、当方の薬局でも、それらのセカンドオピニオンで、ありがた迷惑しているのが現実です。

 こういうことばかりが続くと、今に漢方薬の評判を更に落とすのではないかと危惧しています。

 なお、防已黄耆湯にしても、日本で使用される防已(ぼうい)は、本来の寒性の漢防已ではなく、中医学における温性の清風藤(せいふうとう)=オオツヅラフジが使用されているために、この黄耆(おうぎ)の温性とも相俟って、思うような効果が得られないことも多いようです。

 但し、この清風藤が使用されている日本製の防已黄耆湯でも一昔前(30年前)には、生活が今ほど豊かでなく、温暖化もそれほどでも無い時代だったので、膝関節炎や水太りの肥満症の人には面白いほど、本当にビックリするほどよく奏功した時代があったのです。
 しかしながら、近年の温暖化と暖房設備の充実、豊か過ぎる飽食の時代による「湿熱を伴いやすい」現代社会においては、日本製の防已黄耆湯単独では、温める作用が勝ちすぎて、思うような効果が得られないことがあるので、寒熱を調整する為の一工夫(黄柏〔おうばく〕あるいは石膏や地竜を加えるなど)が必要なことが多いということです。
 
 とは言え、あなたの場合は下痢症でもあることから脾胃虚寒の傾向があるとすれば、温性の清風藤が使用されている防已黄耆湯でちょうど良いのかもしれませんね。
 
 以上、簡単ながらお返事まで。
                               頓首
「漢方薬・漢方専門薬局薬剤師の憂鬱」の管理人より


後日やや遅れて御礼のメール:「漢方薬・漢方専門薬局薬剤師の憂鬱」の管理人さま

お返事どうもありがとうございました。
お礼がこんなに遅くなってしまって、お恥ずかしい限りです。
ブログ見ました。
早速、掲載されてましたね。

あれから、もちろん、防風通聖散を中止したのですが、
どうも、調子が戻らなくて、結局、防已黄耆湯も中止しました。
おそらく、医者への不信から来る、精神的な部分も大きかったんだと思います。
もともと、肥満症の治療で整形に行った訳でもなかったので、
もう、その医者に行くことはやめてしまいました。

今回のことで、漢方薬について改めて勉強して、
やっぱり深いなぁなんて思いました。
機会があれば、今度は信頼のおける漢方医を探してみたいと思います。


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