昼下がりまで電話での問合せが続いた奇妙な月曜日だった。いつになく実質的な本業は夕方から猛烈な多忙となってやって来たが、それまではアリガタ迷惑なお電話のお問合せばかりである。
しかしながら一つだけ、ちょっと問題となる「セカンドオピニオンを御願いしたい」という若い女性の声から始まった内容は、放っておけなかった。ご主人が一ヶ月前から地元の漢方薬局で調合された漢方薬が調子良く、風邪を引いたので、風邪薬も調合してもらったところ、それを服用するやいなや激しい腹痛(腸管付近)が発生したため、薬局に問い合わせたところ、毒素が排出される反応だから心配ないが、量が多過ぎたかもしれないので減量して服用を継続するように言われたという。
不安になってネットの検索で見つけた当方のHPを見て(どのHPかは不明。沢山あるので・・・)セカンドオピニオンを得たいと思って当方に電話をかけたという。
ところが、アドバイスしようにも自家製らしき粉末薬を調合されて、処方名も成分も何も記載されておらず、柴胡・黄除b・芍薬などを入れるような話を聞いたのみであるという。
わずかこれだけの情報では、柴胡桂枝湯や大柴胡湯の配合生薬だろうと類推する以上のことは分からない。両処方であった場合は、それほど激しい作用を生じるようにも思えないが、薬事法で決められている重要な漢方薬の処方名や成分・分量の記載が一切無い自家製の調合粉末薬というのも怪訝である。
この情報公開の時代に、ましてや人体に投与して薬理作用を発揮する医薬品である漢方薬に、何を飲まされているか分からないということ自体が大問題であるから、即刻服薬を中止して、薬事法を遵守するまともな漢方薬局に変えるべしとアドバイスするばかりであった。
漢方薬の処方名や成分・含量が記載されて無いものを服用するのは、極めて危険であるから、求めるほうも十分に気をつけるべきで、ほんとうは重大問題なのである。
ただし、ここで敢えてその薬局さんを少しだけ弁護してあげると、せっかく苦労してピントの合った漢方薬を見つけてあげても、処方名や配合薬物をすべて教えていたら、他の薬局や医療用漢方、あるいは最近最も問題となっている医薬品のネット通販(具体的な医薬品をサイト上に陳列・掲載した買い物カゴ等によるお誘い販売)に逃げられるのではないかという不安からなのであろう。
厚生労働省が何度も内部通達で医薬品をネット上でお誘い販売することは危険だから止めるように警告されていたはずだが、来年度からは法的に完全に禁止されるという噂が薬業界ではもっぱらである。
しかしながら、このあいまいな日本国である。例によって例の如く、またまたウヤムヤになるのではないかと怪しんでいる。