年齢 : 20歳〜29歳
御職業 : 学生
簡単なご住所 : 関東地方
具体的な御職業 : 看護大学生
御意見や御質問をどうぞ : 1年前より一人暮らしを始め秋口より痒みが増しいわゆるアトピー症状がでてます。
乾燥しいらいらすると痒みが増してきます。
近くで漢方専門の病院か薬局を教えていただきたいのですが
お返事メール: 初期のアトピー性皮膚炎では、敢えて漢方治療を求めなくても、一般西洋医学治療で十分に緩解できるものです。きっとステロイドの使用を恐れられているのでしょうが、正しいスキンケアとステロイド軟膏の正しい使用方法を心得られた皮膚科に受診されれば、案外、即効的に緩解できるものです。
アトピーとステロイド
ピントの合った的確な漢方薬を処方してもらうためには、意外に相当な熟練が要るものですので、即効性が望めるとは限りません。
当方には様々なレベルのアトピー性皮膚炎の方が遠近様々なところからやって来られていますが、一般西洋医学治療のみならず、地元の漢方専門医や漢方薬局でも治療に失敗し、却って悪化してしまったためにやって来れれるケースがとても多く見られます。
それらを分析してみますと、まず西洋医学治療では、正しいスキンケアとステロイド軟膏の使用方法の指導が皆無である。
漢方治療では最近遭遇した例でも、たとえば消風散を主体にした配合で、却って悪化しているにも関わらず、医師が頑固に消風散製剤にこだわりすぎるために、ますます悪化してしまった例など。
しかしながら、最初に受診された西洋医学治療において、上記でもリンクした
http://murata-kanpo.ftw.jp/u48283.html
ここにあるように金沢大学医学部の皮膚科、竹原和彦教授の指導されるような正しい指導が行われる限りは、西洋医学治療によって副作用なしに十分緩解できるはずのものなのです。
漢方治療に関しても、西洋医学治療と同様、運が悪いと却って悪化する場合もあり得るので、相当に熟練した専門家でないと危険です。一時悪化することがあっても臨機応変に対処してくれる融通性のある専門家でないと、他の疾患に比べても遙かにデリケートなアトピー性皮膚炎においては、専門家のみならず患者さんの方にも臨機応変の柔軟性を必要とします。
ともあれ、まずは信頼の置けそうな西洋医学の皮膚科に受診されることをお奨めします。
以上、貴女の意に沿わないお返事かと存じますが・・・以上、お返事まで。
頓首
漢方薬・漢方専門薬局薬剤師の憂鬱 拝
【編集後記】 もしも不運にも西洋医学治療でコントロール不能に陥り、ステロイドの乱用という罠に陥りかけた場合は、ステロイド地獄の泥沼にはまり込む前に漢方治療を求めた方が無難であろう。
しかしながら、上記の金沢大学の竹原和彦教授らが指導される正しいスキンケアと正しいステロイド軟膏の使用方法を行えば、多くの場合、ステロイド地獄に陥ることなく、十分緩解できる可能性も高いはずである。
但し、現実的な問題を言えば、そのような正しい指導が行われていない場合が多いのも事実で、そのために近年、西洋医学治療を断念して漢方薬を求めて来局される人が増加する一方である。既に保険漢方の投与も長期間受けた末に、ますます悪化したり、あるいは改善されないまま自費の漢方を求めて来局される人達が驚くほど増えているのが現実である。
そこまでになると皆さん覚悟が出来ているだけに、腰の据わった漢方相談が行えて、比較的スムーズに緩解して行くケースが多いという現実がある。
参考サイト:漢方と漢方薬によるアトピー性皮膚炎研究変遷史
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