86歳の男性が、テレビで腸が悪いのには大建中湯が良いと言っていたのでと、代理の中年女性が処方の指名である。
当方では代理での処方指名には応じられないので、そのご老人の主治医に相談すべきこと、大建中湯は保険漢方専門のT社が盛んに各病院に宣伝して回っているので、どこの病院でも置いている可能性が高いので、薬局で求めるよりもそのほうがベターだと説得して販売しなかった。
お腹を強く温める漢方薬だから、本当に合っているかどうかは、専門的に診断してもらうべきこともアドパイスしたものの、そのような漢方の専門知識を一般の医師が心得ているとは限らないので大いに問題なしとしない。
●昨今、日本国内では漢方の原理・原則を無視した大建中湯の乱用が目立つ、第二の小柴胡湯事件が勃発しなければよいがと強い危惧の念を表明されるR先生。(東亜医学協会発行『漢方の臨床』誌1月号で「新年のことば」特集から抜粋引用)
とあるように、実際のところ中焦陽虚で陰寒上逆する証候には極めて有用な方剤であるが、内外ともに熱証が主体の体質者が誤って服用すると、朝鮮人参や山椒や乾姜がタップリ配合された方剤であるから、温め過ぎるによる様々な不快症状が出兼ねないので注意が必要だ。
参考文献:※痒くなる副作用が目立つ大建中湯エキス製剤の問題点
※http://murata-kanpo.seesaa.net/article/38103051.html