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(実体が無いと言われる少陽三焦の組織構造モデル!)
以下は陳潮祖先生の多くの著作類「中医病機治法学」「中医治法与方剤 第三版」などをヒントにしつつ、あくまで村田恭介が平成五年に勝手にイメージした「少陽三焦」の立体構造モデルである。臨床に直結したあらゆる中医学理論を検討する時に大変重宝しているので、当時の愚見として参考に供したい。
手の少陽三焦は、身体の外殻の裏で臓腑の外にある 膜腠(膜原と腠理)部分である。膜腠は、外は肌表に通じ内は臓腑に連絡し、上は巓頂から下は足に至り、五臓六腑・表裏上下すべてが三焦と連絡し、津気が昇降出入する区域である。
膜原とは臓腑や各器官・肌肉の組織間などを膜状に包み込む膜組織(細胞状の無数の管道となっている)であり、腠理とは膜(膜状の膜組織)外の間隙である。
肝は筋膜を主り、筋は膜が円形に管道を形成した集合体であり、管道中を営血が流通し、管道外の間隙を津気が流通する。膜は肝が主る筋の延長で、常に陰液による濡養を必要とする。
あらゆる臓腑や経絡・諸器官(気管・血管・卵管・尿管など)の実質は、膜が円形に管道を形成した無数の集合体である筋膜で構成され、精気血津液という五種の基礎物質が運行出入する通路となっている。つまり、筋膜組織内の管道中を営血が流通し、管道外の間隙を津気が流通するのである。
また臓腑の外壁や腑の内壁および血管・気管・胆管などの外壁と管の内壁は、津気が運行する通路である三焦の膜腠に被(おお)われている。
注意すべきことは、臓腑・経絡・諸器官を構成する筋膜組織中の無数の管道それぞれの間隙は、津気が出入する通路となっているので、実際には臓腑・経絡・各器官の組織中にも少陽三焦の通路が存在するのである。それゆえ、「少陽三焦の膜腠はあらゆるところに存在する」といわれるのであり、このことは「少陽三焦は臓腑の外」とされることに一見矛盾するようにみえるが、三焦の気機が昇降する区域を述べたものと理解すれば、矛盾はない。
なお、筋膜に多少とも病変が生じれば直ぐに基礎物質の正常な運行が障害されるのは、肝の疏泄機能が肝の主る筋膜と密接に関係しているからである。
このような少陽三焦の組織構造の実体をよく理解しておけば、たとえば「腠理に停滞した痰が膜原を傷害したために内風を生じる」とあるように、痰が膜原を傷害するとどうして内風を生じてしまうのかという意味を理解する場合に、膜原は肝が主る筋膜に属していることを認識していれば、「肝は風を主る」ことからすぐに納得できるはずである。

ラベル:少陽三焦
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