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ところで漢方医学においてこれ等に該当する教科書的なものはかなりいびつであった。
私自身が過去十六年間に学習した経験を思い返してみても、主軸は漢文の素読に始まるご存じ傷寒論、金匱要略の原書。
そして一字一句に拘泥する綿密な読解と解釈。
この読解と解釈の為には、先人の書かれた多くの各解説書も必要であった。それになお、実践に即役立つ吉益東洞著、尾台榕堂註の「類聚方広義」、口訣集と言われる先人の臨床経験談の数々の書籍や近年の臨床家による処方解説書。
漢方は傷寒論に始まって、傷寒論に終わるとさえ言われた時代でもあったと思うが、実際の臨床面では、傷寒、金匱の研究以外に、臨床家による処方解説書と現代人による治験例集の数々の読書によって、処方運用の実際を学びつつ、即実践に役立てていた。
最近、仄聞したことだが、中国から某科の西洋医学を学びに来日した西洋医師が、日本の漢方は、傷寒、金匱が中心的な教材であることを知って、あまりの時代遅れに驚き、また健康保険で使用される処方内容のアンバランスさと、小柴胡湯などの乱用に等しい使い方(文献C)を見て、全くあきれ果てたということであった。
文献
(文献C)村田恭介著「漢方経験雑録」(「和漢薬」誌1988年4月号 通刊419号)ウチダ和漢薬発行
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