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翻って、中医学にはまだまだ無限の可能性が秘められており、例えば「四診」の方法において、(この分野には将来、日本の腹診法の貢献も考えられるが・・・)「八綱弁証」「気血弁証」「臓腑弁証」「三焦弁証」「衛気営血弁証」「六経弁証」「病邪弁証」「外感熱病弁証」などの弁証項目のバリエーション、「治則」や「治法」における新見解から創造される「方剤学」の更なる発展への期待。(この方剤学にはとりわけ日本漢方の貢献も十分に期待される。)さらには「中薬学」の分野のみならず、基礎学や各論における理論面においても、新たな見解や理論を追加修正する余地と発展進歩性を十分に残している(文献F)。
張瓏英先生によると「現代の中医学はあくまで現段階の水準のものに過ぎず、もちろん絶対的なものではない。理論上、実践上、いろいろの矛盾、不統一は少なからず存在するのが現実である。一方立場をかえてみれば、矛盾、不統一であるからこそ、今後の新しい飛躍があり得るし、新しい発展進歩が大いに期待される。新しい方剤の創造、新しい中薬の発見はあり得るし、私たちもそれに努力すべきと思っている。」(文献@)と言われる。
蓋し、我々はそれ以前の問題として、いつまでも漢方医学の殻に閉じこもってばかりいないで、中医学の基本課程を一日も早く修得する必要があると思う。
再び張先生によれば、「中医学は大学生が5〜6年もかけてやっと中医師の最低基準に達するほどの学問であり、単期日のうちに修得できるものでは決してなく、たゆまぬ努力と研究が要求されるものである。中医学も系統的な一つの学問であるから、基礎理論は十分修得する必要がある。あくまで臨床実践はその上に初めて成り立つものであるから、理論学習は一見遠回りのようではあるが、結局は近道となるからである。」(文献@)、といわれる。
筆者のような浅学菲才の者にとっては十数年間、中途半端に続けていた為に、最近になってようやく初歩を一歩踏み出した程度にしかなっていない。それでも、少なくとも漢方医学を学習している上では常に理論上のあいまいさ、不可解さに悩まされ続けていたストレスが、中医学の学習が深まるにつれ、雲散霧消しつつある。
文献
(文献@)張瓏英著「臨床中医学概論」自然社発行/緑書房発行
(文献F)村田恭介著「読書と漢方」(「和漢薬」誌1988年9月号 通刊424号)ウチダ和漢薬発行
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