防己黄耆湯(基本方剤の中医学考察)たまには、応援のクリックお願いします!⇒
【原方名】 防已黄耆湯(《金匱要略》)
【処方構成】 防已 黄耆 白朮 生姜 大棗 甘草
【方剤の特徴】 「固表実脾・利水除湿」を効能とすることから「固表治湿湯」ということができる。
【主治】 @風湿・風水で、脉が浮・身体が重くだるい・自汗・悪風・尿量減少するもの。
A湿痺によるしびれ。
【方意】 本方は、水腫や風湿に表虚(衛気虚)が合併したものに適応する。
このため利水消腫・除湿止痛の防已、益気固表・利水退腫の黄耆を主薬とすることにより、益気固表・利水除湿の効能を発揮する。
これに除湿・補気・健脾の白朮、補気健脾の甘草を補薬とすることにより、益気と除湿の効能が増強される。
防已・白朮の利水除湿によって袪邪し、黄耆・白朮・甘草の固表実脾作用によって扶正する。
このように、扶正袪邪法を行うことにより、正虚邪実の病態を全面的に配慮し、標本同治の配合方式をとっている。
なお、生姜・大棗については、営衛を調和するためである。
【病機】 脾肺気虚・風湿・風水
【治法】 固表実脾・利水除湿法
【応用】 一般的には、補気・利水消腫を目的として、疲れやすい・汗かき・むくみやすい・膝関節の疼痛や浮腫などの症状に応用される。色白・白豚的な水太り・汗かきの有閑マダム的な女性が典型的で、いわゆる水太りによる肥満体質に対する治療薬としても優れている。ただし、気虚・風湿の証候であれば、男性・女性・肥満・痩身にこだわることなく、リウマチ・関節痛・腎炎・原因不明のむくみなどに広く応用される。
〔参考にした文献〕
●「中医治法与方剤」(人民衛生出版)
●「中医病機治法学」(四川科技出版)

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