ご意見やご質問はこちらから⇒●●●


クレーマーは絶対にお断り。付添い人や代理人によるクレーマー豹変率が最も高いので、
ご本人が本気でない場合は、相談をお受けできません。


にほんブログ村 病気ブログ がんへ  

2018年11月02日

中医学と日本漢方の接点とは

1990年発行の「中医臨床」誌通刊42号(東洋学術出版社)に発表論文

中医学と日本漢方の接点としてのエキス剤
                       村田恭介

 中医学の特徴の一つに、手許に十分な中草薬が無い場合でも、弁証論治に基づいた代替品を利用することで、一定レベルの治療効果を確保することを可能にする融通性がある、と私は思っている。例えば、天麻が手許に無い場合、肝風内動による痙攣や震えには釣藤鈎、白僵蚕等で代用し、肝陽上亢から生じた眩暈、頭痛等では代赭石、石決明等で代替する、といった類である。
  数ある中医学の特徴の中で、このことは一見些末なことのように思えるが、限りある天然資源のことを思うと、日頃から代替品の研究と応用は身つにけておく必要があると思う。そして、その一つの代替の方法として、エキス剤等の既成品を利用して多くの疾患に対処することは、一定レベルの治療効果を確保できるものであるなら、服用者の便利さと共に、仕事上の能率の点からも好ましいものであろう。

             基本方剤の模倣

 例えば一つの問題として、中医学における基本方剤を日本で製造されているエキス剤等の既成品だけで代用することは不可能なものであろうか。
 血府逐お湯を使用したい時に、四逆散料合折衝飲各エキス合方で、地黄、桔梗に不足はあるものの、一応の基本的な効果は十分期待出来るようである。一般的にも既に広く行われている気虚血お証に補中益気湯合桂枝茯苓湯各エキス合方などは、時には補陽還五湯の代用品として通用出来なくもない。桃紅四物湯などは、桂枝茯苓丸料合四物湯各エキス合方。天麻鈎藤飲は、釣藤散料合黄連解毒湯合六味丸料各エキス合方。独活寄生湯は、疏経活血湯エキスと海馬補腎丸との合方。
 一部は牽強府会に過ぎる感はあるにせよ、弁証論治の基本から大きく外れなければ、代替品としての利用価値は計り知れない。

           「異病同治」について

 日本の古方派について、中医学派が多少とも注目に値する点があるとしたら、基本方剤をあまり手を加えずに徹底的に応用しようとする精神であろう。基礎理論の点で多くの問題があるにせよ、一つの基本的な方剤を大切にする精神は、ともすれば実際の臨床時において基本方剤の考察を忘れがちな者には、よい警鐘となるかも知れない。
 例えば、少しは経験を積んだ古方派にとっては、桂枝茯苓丸料エキス単方のみによって、一人の女性患者に合併する気管支喘息、頭痛、吹き出物、乗り物酔いを同時に治癒或いは軽快させる類のことは、それほど珍しいことではない。同じように、柴胡桂枝湯エキス単方によって小児喘息、夜尿症、自家中毒を同時に治癒或いは軽快させることなどは比較的多いものである。

 更に、古方派の行う経方単方による難治性疾患に対する治療例については、十分注目に値すると思われる。古方派の投与した方剤がどうして著効を奏したか、中医学的にはどのように解釈、説明が成り立つものか。この作業は、これからの日本の中医学派の行わなければならない課題であると同時にまた義務であると思われる。
 私自身の課題としても、過去に経験したことでありながら、桂枝茯苓丸料による気管支喘息等の多種合併する症候が治癒したメカニズムを中医学的に十分解明する能力を持てるようにならなければ、過去、古方派であった経験を活かすことが出来ないと思っている。

 ところで、敢えて極論させて頂ければ、中医学は「同病異治」の医学であり、古方派漢方は「異病同治」の世界であると言えると思う。従って、中医学は、《金匱要略》の世界を発展させたものであり、古方派漢方は《傷寒論》の世界を日本人独自の方法で発展させ、或いは踏襲したものと言えると思う。
 中国における傷寒論の研究は、過去の日本における研究人を遥かに上回る多数の人々による成果が堆積している筈であるが、一体、「異病同治」に対する研究は十分なされて来たと言えるのであろうか?

 張仲景は《傷寒論》において、外感疾患の伝変法則を検討する形式を取りながら、〈臓腑経絡を綱領として病機分析を進める方法〉の道を開き、世に知らしめた。一方、《金匱要略》においては、《傷寒論》と同様に臓腑の生理病理を根拠としてはいるが、病の種類別に病機を検討する構成をとっている。従って、《金匱要略》においては、《傷寒論》では存在しなかった「病名分類」が重要な位置を占めている。
 かくして、仲景は《傷寒論》を経とし、《金匱要略》を緯として、二書を縦横に連繋させ、以後の医学界に道標となる模範を示した。
 ところが、金元時代から学科の分化が始まって以後、病名別に病理を探求する方式が中心となり、《金匱要略》を基礎とした「同病異治」の理論研究が主体となったまま現在に至り、そして、それが中医学の基本的な特徴とさえなった観を呈しているようだ。

 つまりは、〈それぞれ異なった病機に同一の症状が出現する〉ことに対する治療方法の研究が、現在に至っても中心的な研究対象となっている現実は否定出来ない。
 反面、〈同一の病機においても多種類の症状が現われる〉ものであるが、この「異病同治」に直結する明確な概念の追及は明らかに遅れを取っている。仲景が示した模範を十分に発展させて来たとは言い難く、片手落ちの発展方向にあった過去から現在までの状況を認めざるを得ない。

        中医学と日本漢方の接点

 翻って、基礎理論が乏しいと言われる日本漢方ではあっても、日本漢方なりの独自の《傷寒論》研究により、〈「異病同治」こそ臨床的な現実である〉とした実践が多く行われて来た事実を認識する必要がある。たとえ、それが中医学の基礎理論なしに行われ、東洋医学からは異端なものであるにせよ。

 「異病同治」の基本概念は、当然のことながら《傷寒論》が鍵を握っている訳であるが、かくして日本古方派の《傷寒論》に対する精神と臨床実践は、この分野に対する有益なヒントを与えるものとなろう。日本の古方派の難治性疾患に対する著効例を、中医学的に詳細に解説できるようになれば、自ずから「異病同治」に対する概念の追及に大きな示唆を与えるに違いない。

 但し、この作業はお互いの派の協力が必要となるだけに、多くの困難が予測されるが、将来、必ずや行わなければならないことである。その気にさえなれば中医学理論に明るい者にとっては、それほど困難な作業とは決して思えない。
 中医学を更に発達させる素材が、この日本国内の足下にころがっていることを認識してほしいと思うのである。

        中医学の一部であるべき日本漢方

 ここで特に指摘しておきたいことは、日本の漢方も中国の伝統医学の一部でなければならず、従って日本の漢方は中医学の中に包括されるべきものである、ということである。さもなければ、日本の伝統医学は東洋医学における異端児のまま、更には現実に見られるように西洋医学化という邪道に陥り、いよいよ本質を忘れた似非東洋医学に堕するばかりとなろう。
 日本の漢方も本来あるべき中医学の一部として、中医学の基礎理論を持つべきであり、上記に述べた中医学における「異病同治」の概念を深く追及する足掛かりとする為にも、是非とも必要なことのように思われる。

         「異病同治」を追及する意義

 「異病同治」の概念を明確にして行くことの意義は、「病機体系」を発展的に整理し、中医学的な病名を特定できないような複雑な難治性疾患の克服に、多くの解決の糸口を与えるであろうという点にある。卑近な例では、天麻鈎藤飲加味方によって、一般の本態性高血圧患者ばかりでなく、透析治療寸前の患者の経過を好転させ、あらゆる漢方治療に抵抗を示していたB型肝炎患者を全治に近い状態にまで好転させている最近の私の経験は、この「異病同治」の実践に他ならない。
 また、現在のエキス剤等の既製品については、方剤の種類に不足があるとはいえ、応用範囲が更に拡大されることにもなり、煎薬投与の必要性を多くの点で緩和して呉れることにもなろう。
 更には重大な岐路に立つ日本漢方に、本来あるべき中医学の一部としての基礎理論を付与することになり、東洋医学としての名に恥じない新たな日本漢方として蘇生することにもなろう。

             むすび

 古方派から中医学に鞍替えしてしまった転向組の私には、古方派の欠点も長所も、共によく見えているつもりである。そこで、本音を言わせて戴けば、現状のままでは、日本漢方は基礎理論が乏し過ぎるし、東洋医学と言えるような学問的な論理性も発展性も乏しく、閉塞状態に近い存在であると思っている。と言っても、これまで述べてきたように、長所が全く無い訳ではない。

 ところで、本論で指摘したように、中医学の長い歴史において、不思議におろそかにされてきたと思われる「異病同治」に対する詳細な研究、せっかく仲景が模範を示した《傷寒論》の基本理念である〈臓腑経絡を綱領として病機分析を進める方法〉を基礎として病理の研究を行い、未整理のままの「病機体系」を確立させようとはして来なかった現実。この点については、実は「中医病機治法学」(四川科学技術出版社発行)の総論において、「病機の分析において存在する三つの問題」の中の第二番目の問題として指摘されており、これらの問題定義から生まれた書物が陳潮祖先生の大著「中医病機治法学」なのである。

 従って、拙論の論旨の一部はこの大著の学習に負うものもあるが、管見からすると、更に深く追及し完璧を期す為には、日本の古方派の思想の中にヒントが隠されていると思うのである。
 古方派の行う臨床例の中医学的な解読を行うことが出来なければ、中医学もまだまだ不完全なものと言わざるを得ないことになろう。
 逆に、このことが可能なものであるなら、「異病同治」の概念を更に明確化することに繋がり、「中医病機体系」を更に充実させる為の一つの足掛かりとなるに違いない。

 同時に、経方が中心となっているエキス剤にも応用範囲が更に拡がり、エキス剤が中医学と日本漢方の接点となることも指摘したかったのである。 かくして、東洋医学の基礎概念の欠落が顕著な日本漢方の主流である古方派漢方も、本来あるべき中医学の一部として、真の東洋医学の位置へ復帰することが出来ると思うのである。
たまには、応援のクリックお願いします!にほんブログ村 健康ブログ 漢方へ
posted by ヒゲ薬剤師 at 07:39| 山口 ☀| 中医漢方薬学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月01日

柴胡が欠ける日本の竜胆瀉肝湯について

竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)

             村田漢方堂薬局 村田恭介

 本方は、「肝・胆・三焦の実火で湿熱内盛」に対する方剤であり、

@上・中部の肝火(肝胆実火上擾)に対する効能と、

A下部の肝熱(肝胆湿熱下注)に対する効能

 の二種類に分類することが出来る。

 @は、肝胆の実火の上擾による頭痛(頭部の脹痛を含む)・眩暈・目が充血し腫脹と疼痛を伴う・難聴・耳の腫脹・胸脇部の脹痛など。

 Aは、肝胆の湿熱下注による小便が出渋って痛む・陰部の腫脹・陰部の掻痒・悪臭を伴う粘稠な帯下・舌質は紅・舌苔は黄・脉は弦数で力があるなど。

 臨床応用としては、自律神経失調症・偏頭痛・高血圧・頭部の湿疹・急性結膜炎・虹彩毛様体炎・緑内障・急性鼻炎・鼻前庭および外耳道癤・急性中耳炎・急性黄疸性肝炎・急性胆嚢炎・急性腎盂腎炎・急性虫垂炎・膀胱炎・尿道炎・前立腺炎・急性骨盤内炎症(急性内性器炎)・膣炎・睾丸炎・副睾丸炎・鼠径リンパ腺炎・帯状疱疹・ベーチェット病・湿疹およびアトピー性皮膚炎など枚挙に遑がない。

 上記以外の各種の疾患でも、「肝胆三焦実火・湿熱内盛」という病機の範疇に属する限りは、極めて広範囲な領域の各種疾病に応用が可能である。各種の急性感染症・皮膚疾患・眼科疾患・内分泌系疾患・泌尿生殖器系疾患・耳鼻咽喉科疾患のみならず、各種の出血性疾患や血液系疾患にまで応用可能な方剤であり、肝胆実火に対する最も代表的な方剤である。

 なお、日本国内で製造販売されている竜胆瀉肝湯エキス製剤は、出典が異なるため「柴胡」の配合が欠けているので、注意が必要である

 以上、私見に加えて、
 @潮祖先生の『中医治法与方剤 第三版』(人民衛生出版社)
 A方文賢主編『中医名方臨証秘用』(中国中医薬出版社)
 B王元武・赤堀幸雄共著『方義図解 臨床中医方剤』(医歯薬出版)
 の三冊を参考にさせて頂いた。
たまには、応援のクリックお願いします!にほんブログ村 健康ブログ 漢方へ
ラベル:竜胆瀉肝湯
posted by ヒゲ薬剤師 at 08:16| 山口 ☁| 基本方剤の考察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月31日

麦門冬湯の応用

ずいぶん昔に書いた拙論だが、おそらく「和漢薬」誌の『中医病機治法学』の訳注連載中の蛇足的な注釈部分だったように思う。

麦門冬湯(ばくもんどうとう)

            村田漢方堂薬局 村田恭介

 麦門冬湯は、あまりに有名なので、今更述べるまでもないように思えるが、少し変わった病症では、病名治療的にドライアイに対して意外な効果を示すことが多い。白眼は肺に属し眼球結膜まで敷衍できるので、麦門冬湯は肺津虚に対する効能もあることから、合理的に納得出来る筈である。

 また、筆者は舌炎・口内炎に対しても日常的によく使用しており、舌証においては舌苔が少ない場合に適応性があり、たとえ舌質は紅でなく舌尖のみが赤いという程度でも、適応する場合が多い。

 麦門冬湯で大量に配合される「麦門冬」は、潤肺養陰・益胃生津だけでなく清心除煩の効能もあり、肺胃だけでなく心経にも帰経し、心陰虚による虚火上炎にも有効である。

 麦門冬湯が有効であった舌炎・口内炎の症例を包括的に分析すると、胃陰虚・肺陰虚・心陰虚の三者の一つか二つの併存、あるいは三つの併存により、口唇・口中・舌部の乾燥現象の上に、それぞれの陰虚による虚火上炎に誘発されて慢性的な舌炎・口内炎が生じたものと思われる。

 陳潮祖著「中医病機治法学」では、胃陰不足に対する益胃生津法の代表方剤の一つとして取り上げられているこの麦門冬湯は、「肺胃津虚・虚火上炎」の病機に即応するものとして記載されているように、一般的にも肺胃陰虚に対する代表的な方剤として認識されている。

 ところが、実際には人参が配合されているので、肺胃の気陰両虚に対応するものとしての認識も必要である。臨床上は顔を真っ赤にして咳き込む乾燥性の咳嗽や嗄声によく用いられるが、上記のように主薬の麦門冬の薬能と筆者の経験に基づく考察によれば、胃・肺・心のいずれかの陰虚による虚火上炎に誘発されて生じる舌炎・口内炎にも、大いに有効と認められる訳である。それゆえ、麦門冬湯の効能をもう少し厳密に表現すれば、「心肺胃いずれか一〜三部位の気陰両虚、およびこれらの部位の陰虚による虚火上炎」ということになる。

続編的重要関連文献:陰虚による舌炎・口内炎について
たまには、応援のクリックお願いします!にほんブログ村 健康ブログ 漢方へ
ラベル:麦門冬湯
posted by ヒゲ薬剤師 at 07:42| 山口 ☀| 基本方剤の考察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月30日

参苓白朮散という脾虚気弱に対する全面的な方剤について

 脾虚気弱に対する全面的な方剤「参苓白朮散」

村田漢方堂薬局 村田恭介

 参苓白朮散は、一般的には脾虚湿盛(脾胃気虚による水湿内盛)の病機に対する方剤として繁用されるが、脾の気陰両虚に対する方剤としての側面や、脾虚によって生じる気血両虚に対する方剤としての側面も忘れてはならない。

 中焦の脾土は万物の母であり、水穀精微の運化を主り気血生化の源であり、後天の本である。それゆえ、脾土が虚衰して運化機能が低下すると、五臓六腑の濡養不足を来たして各種の病証を誘発する。

 @脾虚によって水穀精微が運化〔消化・吸収・運輸〕されず、気血の原料不足による気虚や血虚の症候が現われる。

 A脾虚のために水穀精微の生成不足により脾臓の陰血と津液が欠乏して脾陰虚が生じる。

 B脾虚による水湿の運化不足により湿邪が内盛する。

 C湿邪が中焦気機を阻害すると昇降失調を来たして胃が和降できなくなる。

 D脾気虚衰によって脾土の子である肺金にも影響して肺気が衰え、湿聚生痰から肺気の宣降失調を誘発する。

 参苓白朮散は、このように脾虚によって誘発される各種の証候に適応する方剤であり、脾虚気弱に対するかなり全面的な方剤と言える。

 舌証については、脾虚湿盛が主体の病証では、胖大で淡紅の舌質に白膩苔を伴うことが多いが、脾陰虚が主体の病証では、胖大であっても紅絳の舌質であることが多く、少苔や花剥苔・地図状舌であることが多い。

 脾胃気虚が遷延すると、脾陰が滋養されなくなって脾陰虚を伴うものである。それゆえ、脾虚気弱に対して一般的な補気健脾の方剤を用いても、期待するほどの効果が発揮されない場合は、方剤中に脾陰虚に対する配慮が欠けているためと思われるので、参苓白朮散を使用してみるとよい。

 また、補気健脾方剤の選択に迷うような時には、暫定的に本方を投与してみるのも一つの方法である。

 一般的な脾気虚の症状とともに口唇の乾燥・指先の角質化・手足の熱感・身体の熱感・皮膚の乾燥などの症状を伴うときは、脾陰虚の症候が顕著であるので参苓白朮散が適応し、特定の疾患では潰瘍性大腸炎・慢性膵炎・慢性腎炎、あるいはアトピー性皮膚炎・尋常性乾癬などで使用する機会がある。

 また、元気がない・疲れやすいなどの気虚の症状とともに、頭のふらつき・目がかすむなど明らかな血虚の症状が見られるとき、一般的な気血両虚との判断から十全大補湯を投与すると食欲減退・身体の熱感・泥状便などが生じて逆効果となり、気虚血少に対する帰脾湯や補中益気湯で効少なく、結局は参苓白朮散でなければ治療効果を発揮出来ない気血両虚もあるので、注意が必要である。

【参考文献】
@「図解 中医方剤マニュアル」(何金森著/植村澄夫訳 東洋学術出版社)

A「中医臨床のための方剤学」(神戸中医学研究会編 医歯薬出版)
たまには、応援のクリックお願いします!にほんブログ村 健康ブログ 漢方へ
ラベル:参苓白朮散
posted by ヒゲ薬剤師 at 07:10| 山口 ☀| 基本方剤の考察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月29日

応用範囲の広い「基本方剤そのままの温胆湯エキス」の製造を、コタローさんが実現するに至ったきっかけとなった拙論

温胆湯(うんたんとう)

1996年の「和漢薬」誌513号の拙論 (村田恭介)

●エキス剤の製品開発が望まれる『温胆湯』

 温胆湯は、中医学では絶対に不可欠な基本方剤である。胆胃不和による痰熱内擾の病機に適応するとされるが、胆と脾胃が虚弱なものが精神的なストレスにより気鬱生痰・気鬱化火を誘発して痰熱を生じ、胆の疏泄と胃の和降の失調とともに、痰熱が少陽三焦を壅滞したものである。

 それゆえ、温胆湯は理気化痰・清胆和胃・疏調三焦の効能を発揮するのが特徴である。

 応用範囲は、冠状動脈性心疾患・動悸・心室性期外収縮・心房細動・高血圧・脳血管障害・甲状腺機能亢進・不眠症など各種の神経症・癲癇・いわゆるメニエール氏症候群・胃十二指腸潰瘍・胆嚢炎・胆石症・妊娠悪阻・気管支炎・気管支喘息等々、数え挙げれば際限がない。

 ところが日本国内では、竹茹温胆湯や加味温胆湯、あるいは基本方剤に酸棗仁・黄連が加味された製剤など、加味方剤のエキス製品はあっても、《千金方》や《三因方》のような原典記載の基本方剤は製造されていない。

 上記のような広範囲な応用が可能となるのは、それぞれの複雑な病機にもとづいた治療法則に対応し、温胆湯の加味・合方を有機的に行ってはじめて可能となるのであるから、中医学がますます認識されてゆくこれからの時代、必然的に原典にもとづいた基本方剤そのままの温胆湯エキスの製造の要望が高まるに違いない。

 温胆湯は『一般用漢方処方の手引き』の210処方中に記載されている方剤だけに、製造許可は容易に得られるはずである。

 温胆湯の配合内容は、黄連・酸棗仁・大棗を除外した「半夏・茯苓・生姜・陳皮・竹茹・枳実・甘草」の七味が最も理想的である。黄連・酸棗仁・大棗の三味を決して配合してはならず、さもなければ有機的に広範囲な活用が出来なくなるのである。

 また、分量としては甘草が一グラム未満の製剤で、甘草に対する注意書きの記載を必要としないものが理想的なのである。

追記:その後、2005年になってようやく小太郎漢方製薬から基本どおりの温胆湯エキス顆粒が製造販売された。)
たまには、応援のクリックお願いします!にほんブログ村 健康ブログ 漢方へ
ラベル:温胆湯
posted by ヒゲ薬剤師 at 00:23| 山口 ☀| 基本方剤の考察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする