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2018年12月06日

附子剤を乱用気味の日本漢方(間違いだらけの漢方と漢方薬)

   附子剤を乱用気味の日本漢方

 相変わらず八味丸製剤の宣伝が盛んであるが、日本国中が食糧事情が豊富で栄養豊かでしかも暖房設備の充実した時代である。 しかも地球の温暖化現象の危機が叫ばれる時代に、日本列島全体に向けて 辛温、大熱の附子(ブシ)の配合された八味丸が、それほど普遍性があるのかどうか、再考を促したいものである。 たしかに八味丸や牛車腎気丸は適応証がある人にとっては素晴らしい薬効を奏するが、腎陽虚がなければ絶対に 使用してはならない。

 たとえ腎陽虚がある場合でも、五臓六腑はそれぞれ寒熱に違いがあるので、肺熱や肺陰虚をともなっている 場合には慎重に用いる必要がある。
 つまり肺熱や肺陰虚に対する方剤を併用するなりして、未然に肺陰が損傷されない配合が必須であるということだ。

  肺は嬌臓(脆弱な臓器)であり、寒、熱、燥、湿などいずれにも敏感に影響を受けやすい臓器であるから 五臓六腑の中でも特に配慮が必要である。

 わけても附子の辛温大熱は容易に肺陰を損傷して、乾燥性の咳嗽や血痰、咽喉腫痛あるいは口内乾燥刺激感 などを引き起こすことも珍しくないのである。
 一般薬の八味丸製剤が盛んに宣伝されることで適応証でもない人が、指名買いすることによる副作用の問題のみ ならず、医療用漢方においても八味丸エキスや牛車腎気丸エキスが盛んに投与されることで、上記のような軽度の副作用が 出ても、あらずもがなの遠慮から主治医に相談できずに漢方薬局へ問い合わせるケースも稀ではない。

参考文献

 注意が必要な漢方薬(肺陰を損傷しやすい漢方処方)
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ラベル:附子
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2018年12月05日

果穂茵蔯と綿茵蔯の錯誤(間違いだらけの漢方と漢方薬)

  果穂茵蔯と綿茵蔯の違い

 茵蔯蒿といえば中国では当然のごとくカワラヨモギの幼苗であるが、日本ではもっぱらカワラヨモギの果穂が用いられる。
 現実問題としては長年の経験から言えることは、日本で使用される果穂茵蔯でも十分に優れた効果を発揮するので、大きな問題はないように思われるが、実際の効力的には幼苗を用いた綿茵蔯の方が効果が優れているとされている。

 このことを論じた過去の拙論を参考のために以下に転載する。

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img535 posted by (C)ヒゲジジイ
 茵蔯蒿は本来茎葉を用いるべきで、とくに嫩葉(どんよう)ばかりを用いるのが良い。中国でも若葉だけを用いて、日本で主に使われている果穂は、用いられていません。

 いつ頃から、どうして日本ではそのように果穂ばかりを使う習慣が出来てしまったのか、勝手な憶測をいわせてもらえば、調剤上の便利さを慮って、計量に手間取る本来の嫩葉ばかりのものを廃し、サジで簡単に計れる果穂ばかりを、医者の手前勝手で使うようになったのではないか。もしそうであるとするならば、案外日本人も、ずぼらなところがあるものと、御先祖さんに対する憤りを禁じ得ません。

 従来の、果穂茵蔯でも、所期の目的を達することは、充分に可能であるようですが、本来の茵蔯蒿である嫩葉の、いわゆる綿茵蔯には、より確実な効力があるもので、聞くところでは、故荒木正胤先生や故荒木性次先生等の後世に残る大家は、綿茵蔯を使うべきだ、と主張されていたようです。

村田恭介著:中草薬漫談「綿茵蔯」(和漢薬誌339号 1981年8月)
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2018年12月04日

漢防已と清風藤の混同問題(間違いだらけの漢方と漢方薬)

   防已と清風藤の錯誤

 本来「防已」といえば寒涼性の「漢防已」あるいは「粉防己」(原植物はツヅラフジ科のシマハスノカズラ Stephaniatetrandra S. Moore)が使用されるべきものである。

 しかしながら残念なことに近年、間違ってアリストロキア酸を含有する「広防己(Guangfangji)」(Aristolochia fangchi Y.C. Wu ex L.D. Chow)を使用して腎障害が発生する事故のために、アリストロキア酸を含有しない粉防已や漢防已まで敬遠されたかの感がある。

 ところで問題は日本国内で防已といえば、すべて清風藤が用いられており、アリストロキア酸を含有しない粉防已や漢防已はまったく採用されないことである。

 日本では防已といえばすべて日本薬局方で定めるオオツヅラフジ Sinomenium acutum Rehder et Wilson (Menispermaceae)のつる性の茎及び根茎に限定されている。

 このオオツヅラフジは中医学における清風藤に該当するもので、中医学における防已としては使用されない。それもその筈で、両者は寒熱に違いがある。

 本来の防已は辛寒で苦味の性味で、帰経は膀胱、脾、肺、腎。袪風止痛、通経活絡、利水退腫の効能であり、清風藤は辛温で苦、帰経は肝、脾。袪風除湿、通経活絡、散瘀消腫で、両者は類似点が非常に多いものの、寒熱が異なることに大きな違いがある。

 だから実際問題として、日本でもしばしば繁用される防已黄耆湯を用いる場合、変形性膝関節症において、患部の寒熱の状況によって効能に大きな差が出てくることになる。

 数十年前までは、清風藤を用いた日本の防已黄耆湯がよく奏功する変形性膝関節症にしばしば遭遇したものだが、昨今の温暖化により患部に熱を持つ膝関節症が増えており、明らかに防已黄耆湯証と思われる場合でも、石膏や地竜を加えるなどして清風藤の温性を打ち消す工夫をしなければ 効果を発揮しない事態が頻出するのである。

 願わくば寒涼性の正式な防已である粉防已や漢防已が厳密な検査を経て、日本薬局方に採用され、本当の防已黄耆湯が製造できる体制を整えて欲しいものである。
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ラベル:清風藤 防已
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2018年12月03日

真防風と混用される浜防風(間違いだらけの漢方と漢方薬)

  浜防風は真防風の代用にはならない

 日本漢方ではしばしば真防風の代用として浜防風が使用されるが、中医学的には効果・効能において大きな違いがあり、代用になるはずがない。
 そもそも日本で言う浜防風は、中薬学においては沙参(シャジン)、北沙参にほかならない。

 沙参は肺胃に対して作用し、清熱・生津・養陰作用を発揮する。一方、真防風は解表散風、勝湿止痛、袪風止痙などで微温、辛甘の性味であり、まるで効能・効果・薬性において異なるものである。

 江戸期に真防風の代用として浜防風を使用したという経緯があるにせよ、現在に到っても多くの処方で真防風を使用せずに、いまだに浜防風が使用される時代錯誤は、なんとかならないものかっ。

 錯誤・錯覚したまま惰性でいまだに沙参を浜防風として真防風の代用品がそのまま荊芥連翹湯(けいがいれんぎょとう)や清上防風湯あるいは消風散などで使用されているのだがら、絶句するのみ。
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ラベル:浜防風 真防風
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2018年12月02日

●原料生薬として日本には桂枝が存在しないに等しいのに、桂枝と桂皮、肉桂の信じがたい混同(間違いだらけの漢方と漢方薬)

  桂枝と桂皮、肉桂の錯誤

 桂枝と肉桂は同じ原植物であっても薬用部分が異なっており、桂枝は若い細枝、肉桂は幹皮である。つまり肉桂は桂皮であるから桂枝とはまったく異なる薬用部分である。

 ともに温通散寒作用があるが、肉桂(桂皮)は辛甘・大熱で作用が強く、裏を温め腎陽の温補に優れている。

 桂枝は辛甘・温であり、作用は肉桂よりも穏やかで、発汗解肌を特長とし、主として肺・心・膀胱経に作用する。

 このように薬用部分が異なれば作用の強弱もかなり異なり、命門の火を補うのを特長とする肉桂と、発表散寒・活血痛経を特長とする桂枝を混同して使用する日本漢方、つまり日本漢方医学の杜撰さはどうしようもない。

 漢方薬における製剤原料の吟味において、杜撰な数々を考えると、日本人の繊細な美徳はいかにまやかしであったかということが分かろうというものである。
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ラベル:桂皮 桂枝 肉桂
posted by ヒゲジジイ at 00:51| 山口 | 間違いだらけの漢方と漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする