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2018年12月04日

漢防已と清風藤の混同問題(間違いだらけの漢方と漢方薬)

   防已と清風藤の錯誤

 本来「防已」といえば寒涼性の「漢防已」あるいは「粉防己」(原植物はツヅラフジ科のシマハスノカズラ Stephaniatetrandra S. Moore)が使用されるべきものである。

 しかしながら残念なことに近年、間違ってアリストロキア酸を含有する「広防己(Guangfangji)」(Aristolochia fangchi Y.C. Wu ex L.D. Chow)を使用して腎障害が発生する事故のために、アリストロキア酸を含有しない粉防已や漢防已まで敬遠されたかの感がある。

 ところで問題は日本国内で防已といえば、すべて清風藤が用いられており、アリストロキア酸を含有しない粉防已や漢防已はまったく採用されないことである。

 日本では防已といえばすべて日本薬局方で定めるオオツヅラフジ Sinomenium acutum Rehder et Wilson (Menispermaceae)のつる性の茎及び根茎に限定されている。

 このオオツヅラフジは中医学における清風藤に該当するもので、中医学における防已としては使用されない。それもその筈で、両者は寒熱に違いがある。

 本来の防已は辛寒で苦味の性味で、帰経は膀胱、脾、肺、腎。袪風止痛、通経活絡、利水退腫の効能であり、清風藤は辛温で苦、帰経は肝、脾。袪風除湿、通経活絡、散瘀消腫で、両者は類似点が非常に多いものの、寒熱が異なることに大きな違いがある。

 だから実際問題として、日本でもしばしば繁用される防已黄耆湯を用いる場合、変形性膝関節症において、患部の寒熱の状況によって効能に大きな差が出てくることになる。

 数十年前までは、清風藤を用いた日本の防已黄耆湯がよく奏功する変形性膝関節症にしばしば遭遇したものだが、昨今の温暖化により患部に熱を持つ膝関節症が増えており、明らかに防已黄耆湯証と思われる場合でも、石膏や地竜を加えるなどして清風藤の温性を打ち消す工夫をしなければ 効果を発揮しない事態が頻出するのである。

 願わくば寒涼性の正式な防已である粉防已や漢防已が厳密な検査を経て、日本薬局方に採用され、本当の防已黄耆湯が製造できる体制を整えて欲しいものである。
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ラベル:清風藤 防已
posted by ヒゲ薬剤師 at 00:00| 山口 ☔| 間違いだらけの漢方と漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年12月03日

真防風と混用される浜防風(間違いだらけの漢方と漢方薬)

  浜防風は真防風の代用にはならない

 日本漢方ではしばしば真防風の代用として浜防風が使用されるが、中医学的には効果・効能において大きな違いがあり、代用になるはずがない。
 そもそも日本で言う浜防風は、中薬学においては沙参(シャジン)、北沙参にほかならない。

 沙参は肺胃に対して作用し、清熱・生津・養陰作用を発揮する。一方、真防風は解表散風、勝湿止痛、袪風止痙などで微温、辛甘の性味であり、まるで効能・効果・薬性において異なるものである。

 江戸期に真防風の代用として浜防風を使用したという経緯があるにせよ、現在に到っても多くの処方で真防風を使用せずに、いまだに浜防風が使用される時代錯誤は、なんとかならないものかっ。

 錯誤・錯覚したまま惰性でいまだに沙参を浜防風として真防風の代用品がそのまま荊芥連翹湯(けいがいれんぎょとう)や清上防風湯あるいは消風散などで使用されているのだがら、絶句するのみ。
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2018年12月02日

●原料生薬として日本には桂枝が存在しないに等しいのに、桂枝と桂皮、肉桂の信じがたい混同(間違いだらけの漢方と漢方薬)

  桂枝と桂皮、肉桂の錯誤

 桂枝と肉桂は同じ原植物であっても薬用部分が異なっており、桂枝は若い細枝、肉桂は幹皮である。つまり肉桂は桂皮であるから桂枝とはまったく異なる薬用部分である。

 ともに温通散寒作用があるが、肉桂(桂皮)は辛甘・大熱で作用が強く、裏を温め腎陽の温補に優れている。

 桂枝は辛甘・温であり、作用は肉桂よりも穏やかで、発汗解肌を特長とし、主として肺・心・膀胱経に作用する。

 このように薬用部分が異なれば作用の強弱もかなり異なり、命門の火を補うのを特長とする肉桂と、発表散寒・活血痛経を特長とする桂枝を混同して使用する日本漢方、つまり日本漢方医学の杜撰さはどうしようもない。

 漢方薬における製剤原料の吟味において、杜撰な数々を考えると、日本人の繊細な美徳はいかにまやかしであったかということが分かろうというものである。
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ラベル:桂皮 桂枝 肉桂
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2018年12月01日

生姜と乾姜の驚くべき錯誤(間違いだらけの漢方と漢方薬)

  生姜と乾姜の驚くべき錯誤

 乾燥生姜を使用すべきところを、蒸して加工して飴色に黒変した煨姜(わいきょう)もどきの代物が、乾姜として使用される我が日本国の漢方界の杜撰さには驚くばかりである。 単に生姜を乾燥しただけのシンプルな乾燥生姜を用いればよいものを、わざわざ本来期待される乾燥生姜の効力を台無しにしているのである。

 生の生姜であるべきところを乾燥生姜を用い、乾燥した生姜を用いるところを、わざわざ蒸して飴色に加工した煨姜(ワイキョウ)もどきを用いるのは、明らかな錯誤である。

 この、漢方薬の製剤原料としての乾燥生姜を、日本薬局方では「生姜」と名づけているのだから驚くばかりである。これは明らかに中医学における乾燥生姜、つまり「乾姜」なのである。
 生姜というからには、生(なま)のものでなければ生姜と呼べるわけがないではないかっ!
 こんなことは、子供でも分かりそうな常識だが、不思議と日本の漢方界は杜撰さを通り越して非常識極まりないのである。

 たとえば胃がつっかえておなかがゴロゴロなるような時に、漢方では「半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)」が使われるが、日本では「煨姜(わいきょう)もどき」が配合されていることが多い。
 処方集にはちゃんと「乾姜」と書かれているのだから、ひね生姜を乾燥させた「乾燥生姜」を使用すべきである。
 でなければ、乾燥生姜にある消化促進作用がかなり損なわれる。

 日本のように蒸した後に乾燥させた煨姜もどきを半夏瀉心湯に使用されたのでは、その人の病症にピッタリ合っているはずでも、効力が台無しになる場合すらある。
 さいわいに、錠剤や顆粒剤になった漢方製剤でも、煨姜もどきではなく、正しい乾燥生姜を用いている製品も少数ながら製造されているので、大いに助かる。

 柴胡桂枝乾姜湯という日本漢方では、よく使用される方剤があるが、この方剤も日本漢方では、本当の乾姜が使われずに、煨姜もどきが使われているものだから、体質にフィットしているはずでも、へんに胃にもたれたりして、思ったほど効力を発揮できないことが多い。
 そんな人にでも、煨姜もどきではなく正しい乾姜(乾燥生姜)が使用されていると、胃にもたれることもなく、良好な結果がえられことが多いのである。

【関連参考文献】

意外に重要な!漢方製剤および煎薬の品質問題
半夏瀉心湯 (はんげしゃしんとう)
日本国内における乾姜の錯誤問題についての御質問
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ラベル:生姜 乾姜
posted by ヒゲ薬剤師 at 00:00| 山口 ☁| 間違いだらけの漢方と漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月30日

白朮を蒼朮で代用する杜撰(間違いだらけの漢方と漢方薬)

 白朮を蒼朮で代用されている医療用漢方の問題は小さくない。

 そうはいっても現実的には、五苓散中の白朮を蒼朮で代用することは、実際にはそれほど大きな問題ではないものの、補中益気湯や六君子湯など、いわゆる虚証向けの方剤において、白朮を蒼朮で代用されているエキス製剤は、問題はかなり大きい

 これらの拙論を全否定しようとする人達は、玉屏風散中の白朮は絶対に蒼朮で代用できないことを考えてみるがよい。

 これでも理解しようとしない頑迷な人達は、補気建中湯や分消湯、あるいは半夏白朮天麻湯などでは、白朮と蒼朮の両者が配合されている意義を考えてみるがよい。

 それでも、なおかつ頑迷に否定する人達は、万事休す。

  白朮を蒼朮で代用する杜撰

 日本の漢方製剤には原料生薬の吟味において、極めて杜撰なメーカーさんが目立つ。その最たるものがこの蒼朮(ソウジュツ)と白朮(ビャクジュツ)の区別である。
 ひどいメーカーになると白朮であるべきところがすべて蒼朮に改悪されて製造されているところもある。しかも日本の代表的な医療用漢方メーカーで顕著であるから由々しき問題である。

  白朮と蒼朮は類似点は多いが中薬学上の薬効は明かに違いがある。
 脾虚脾湿に適応する白朮と、湿邪の実証に適応する蒼朮である。燥湿健脾を特長とする白朮と、袪風除湿を特長とする蒼朮である。

 白朮と蒼朮の最大の違いは、白朮は固表止汗して黄耆(オウギ)がないときの代用品になるくらいだが、蒼朮は逆に散寒解表して発汗作用があるので決して黄耆の代用とはなり得ない

 たとえば玉屏風散(ギョクヘイフウサン)は黄耆・白朮・防風の三味で構成されるが、この白朮を蒼朮で代用するなんてことは絶対にあり得ない。
 蒼朮を用いることは玉屏風散の立方の主旨、表衛不固に対する治療方剤(益気固表止汗)にはなり得ないからである。

 日本漢方の杜撰さがここにあり、補虚の白朮を袪邪の蒼朮に置き換えたら四君子湯も六君子湯も補中益気湯も、苓桂朮甘湯など、本来の方意を微妙に損なうことになる事実を知る医療関係者がどれだけいるのだろうかっ?

 このような白朮と蒼朮の問題は、すべて学問的にも臨床的にも中医学的には常識中の常識の問題である。

 なお、以下に 1982年・陝西科学技術出版社刊「中薬方剤基本知識問答」に記載される蒼朮と白朮についての記載の一部をピックアップし、意訳して参考に供する。
蒼朮と白朮は《神農本草経》での記載において区別はなく、《名医別録》で初めて赤朮、白朮と分けられた。
すなわち赤朮とは現在の蒼朮のことである。宋代に到って《政和本草》で蒼朮の名が出で来る。

 蒼朮、白朮の二つの朮はいずれも燥湿健脾の効があり、どちらも湿阻脾胃、脾胃気虚により運化機能が失調して起こる脘腹満悶、食欲不振、悪心嘔吐、泄瀉、無力等の症に用いられる。
 それゆえ臨床上、二薬は常に合用する。

 蒼朮と白朮の両種薬物の異なる点は、古人の李士材曽が総結して「寛中発汗の効は蒼朮が勝れ、補中除湿の効は白朮が勝る。脾虚には白朮を用いてこれを培し、胃強には蒼朮を用いてこれを平げる。補脾には白朮を用い、運脾には蒼朮を用いて補運を相兼ね、両者を合用する。湿盛の実証には蒼朮を多用し、脾弱の虚証には白朮を多用する
 と述べている。これは前人が二つの朮に対する臨床の応用面の経験を総結したものであり、参考価値が高い。

 具体的に説明すれば、蒼朮の味は辛でよく発散し、性は温で燥、芳香の気が強く、燥湿作用は白朮よりも優れ、健脾の効は白朮に及ばない。
 痺証の治療では、虚湿が重い場合は白朮を用い、実寒が甚だしい場合は蒼朮を用いる。
 この他、蒼朮は湿温、夜盲症、佝僂病等にも用いる。

 白朮は補気固表の効があり、表虚自汗に用い、また安胎の作用があることから、妊婦の脾胃虚弱で水湿内停して起こる悪心嘔吐、眩暈、胎動不安および両足の浮腫等、胎気不和の諸証に用いられる。

 −1982年・陝西科学技術出版社刊「中薬方剤基本知識問答」

      参考文献

補中益気湯に蒼朮(ソウジュツ)が配合される錯誤問題
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ラベル:白朮 蒼朮
posted by ヒゲ薬剤師 at 00:05| 山口 ☀| 間違いだらけの漢方と漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする