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2018年10月28日

十数年以上前に専門誌に書いた「茵蔯蒿湯の考察」に重要な補足を加えてみた

茵蔯蒿湯の考察
                     村田漢方堂薬局 村田恭介

 茵蔯蒿湯は、黄疸治療の名方である。茵蔯は黄疸の要薬であり、清熱利湿の作用があるだけでなく、肝胆の鬱を解除する作用があるので、利胆退黄の効能を発揮する。清熱利湿の山梔子の配合によって利胆退黄の作用が増強されるが、さらに瀉熱通腑の大黄を配合すると、胆管や腸道が通暢するので胆汁が腸道にスムーズに流れ、利胆退黄の作用が促進される。このように僅か三味の配合で、清熱除湿・利胆退黄の強力な方剤が完成する。

 苦寒清熱・利胆通腑・活血行瘀の効能を持つ「大黄」の配合は、特に重要である。大黄の清熱作用は、茵蔯蒿と山梔子の清熱解毒を増強する。大黄の利胆通腑作用は、上述のように胆管と腸道を通暢して胆汁の正常な流れを確保せしめるので、退黄を助ける。大黄の活血行瘀作用は、蔵血の肝の血流を通暢して肝機能の回復を促進するだけでなく、肝臓肥大などの後遺症を防ぐので、大黄の配合は極めて重要な役割を持っている。

 臨床応用としては、黄疸などを伴う肝胆疾患のみならず慢性腎炎や腎不全に不可欠であり、急性蕁麻疹・慢性蕁麻疹・アトピー性皮膚炎のみならず各種の湿疹、さらには湿熱が経絡で蘊結し、熱痺を呈する関節炎などにも応用可能である。

 以上、私見に加えて、

 @陳潮祖先生の『中医治法与方剤 第三版』(人民衛生出版社)
 A方文賢主編『中医名方臨証秘用』(中国中医薬出版社)
 B王元武・赤堀幸雄共著『方義図解 臨床中医方剤』(医歯薬出版)

 の3冊を参考にさせて頂いた。

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posted by ヒゲ薬剤師 at 08:06| 山口 ☁| 基本方剤の考察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月27日

十数年前にどこかで書いた「瞑眩(めんげん)や好転反応」に対する疑義

瞑眩(めんげん)や好転反応に対する疑義
村田漢方堂薬局 村田恭介

 日本漢方では素晴らしいことのように言われる瞑眩(めんげん)だが、とりわけ健康食品などでいわれる「好転反応」の多くは、あるいはほとんどは、副作用なのではないかと疑っている。

 漢方薬(漢方処方)で生じるといわれる「めんげん」も、実際にあるには確かに存在するのであろうが、小生の薬局では服用後に明らかな不快反応が出れば、それは合わなかったものとして、中止してもらうことになる。疑わしきは罰するという考えである。

 但し、軽度の不快感の場合は、先入観や薬に対する単なる不安から、ということもあるので、まず、量を減らして様子を見てもらう。

 いずれにせよ、三十数年間の経験から言えることは、不快反応がでた場合、それがめんげんか、あるいは副作用か、容易に判断できるものではない。

 但し、日本古方派では、古人も言い、現代でもとてもよいことのように賞賛される雰囲気すらあるので、実際には「めんげん」といわれる好転反応は、漢方処方については、実際に存在するのであろう。
その場合は、多くは、はじめから薬用量が多かった時に生じているように思われる。

 ただ、先にも述べたように、副作用かめんげんかは、たとえ専門家でも区別は付きにくいはずである。

 繰り返すと、健康食品などで言われる「好転反応」の多くは先にも述べたように、多くが副作用で、体質に合っていない反応のようであり、、これは、漢方薬の場合も同様ではないか、ということである。

 瞑眩(めんげん)や好転反応を素晴らしいことのように主張する風潮は、販売する側の手前味噌ではないかと疑っているほどである。

 とりわけ健康食品関係では、素人が製造して素人に販売しているケースが多いだけに、いよいよ不安である。

【参考文献】
1.10月08日「めんげん」「好転反応」についての御質問
2.本物の瞑眩の実例⇒ 漢方薬に寄る瞑眩(めんげん)⇒好転反応は超稀にはあるっ!
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posted by ヒゲ薬剤師 at 08:19| 山口 ☀| 瞑眩(めんげん)⇒好転反応 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月26日

中医学や漢方医学の専門家の多くが知らなかった「ウコン」の真実!

行気活血薬の伯備「鬱金」(玉金)

村田漢方堂薬局 村田恭介

 中医学では繁用されながら、日本国内では流通量の少ない中草薬に「鬱金」がある。性味は辛苦寒で、帰経は心・肺・肝・胆と作用領域が広く、効能については、@活血止痛・A行気解鬱・B清熱涼血止血・C清心開竅・D利胆退黄など、単味でこれほど多方面の効能を持つ中草薬も珍しい。

 御承知のように中医学における鬱金は、日本国内で「ウコン」の名で流通しているものとは別物である。日本市場の「ウコン」は原植物名をあてたもので、中医学では「姜黄」に該当する

 中医学上の鬱金は日本の植物名における[1]ウコン(中国の植物名では姜黄)や[2]ハルウコン(中国の植物名では鬱金)または[3]ガジュツ(中国の植物名も莪朮)類の塊根である。

 いっぽう、中医学上の姜黄は[1]や[2]の根茎を指しており、これこそが日本国内における「ウコン」の名の市販品に該当する。また[3]の根茎は中医学・日本市場ともに莪朮である。

 以上のように、中医学上の鬱金と姜黄の違いは、決して植物の品種の違いではなく、主には同一植物における薬用部分の違いなのである

 なお、中医臨床においては鬱金類の効能の特徴にもとづいて「広鬱金」と「川鬱金」の二系統に分類して使用され、前者は行気解鬱に長じる[1]の塊根であり、後者は活血化[]に長じる[2][3]の塊根である。

 ところで、広鬱金[1]の主産地は四川省であり、川鬱金[2]の主産地は浙江省であるから、川鬱金の「川」を四川省の意味に取ってはならないのだが、「中薬材」関係の書籍では[1]の主産地が四川省であることから、広鬱金であっても川鬱金と称することが多いので、決して混同してはならない。

 中医学における鬱金の適応領域は多岐に渡っており、肝臓・胆嚢・胃腸・脳血管・心臓・肺臓・泌尿器系・婦人科系などの各種疾患、および各種の出血証に対する要薬であるだけに、日本のウコンと混同を避けるために、鬱金の別名である「玉金」と称したほうが無難である。

 日本市場のウコンは中医学における姜黄であり、玉金とは寒熱が相反し、効能もかなり異なっているので、混同して用いてはならないのである
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2018年10月25日

藿香正気散合猪苓湯について

藿香正気散合猪苓湯の応用
          村田恭介

 ●湿温初期に適応する三仁湯や藿朴夏苓湯をエキス剤で代用するには?

 梅雨から夏にかけて発病しやすい「湿温」に対する代表方剤、三仁湯や藿朴夏苓湯をエキス剤で代用する方法についての情報である。

 三仁湯は湿温初期に対する代表方剤であるが、類似方剤として「藿朴夏苓湯」も忘れてはならない。三仁湯と同様に上焦湿熱に対する治療方剤でもある。両者ともに湿遏衛陽証、あるいは湿鬱肌表証、または湿遏衛気証、あるいは湿熱鬱遏肌表証であり、適応証の違いは藿朴夏苓湯は表湿症状が顕著で化熱症状が弱く、三仁湯は表湿症状とともに化熱症状が明らかで、体内に強い熱感がありながらも体表に触れると熱感はない。

 両者は、湿熱の邪気が上焦を侵襲し、上焦肺衛を鬱阻するとともに中焦・下焦に瀰蔓し、表裏ともに鬱阻して表裏同病を呈したものである。

 本証は梅雨や夏から初秋にかけて発病しやすく、病変過程は比較的緩慢でしつこく、いつまでも持続し「風邪と夏バテが重なったようで、病院治療や薬局の薬を利用しても、いつまでもスッキリしない」といって漢方薬を求めて来局する人の中に適応が多い。

 煎薬を好まない人には、藿香正気散エキスに滑石茯苓湯(猪苓湯エキス)を合方し、さらに薏苡仁エキスを加えれば、かなり代用できるものである。
 とりわけ藿朴夏苓湯の代用方剤としてはピッタリのようで、猪苓湯中の阿膠は滋膩の薬味で一見マイナスのように見えるが、芳香辛散の薬味による肺陰損傷や湿熱傷陰の防止として却って好都合なのである。

 本命の三仁湯の代用とする場合には、藿香正気散をやや少量とし、猪苓湯と薏苡仁各エキスをやや多目にするとかなり代用可能である。

三仁湯(杏仁・白豆蔲・薏苡仁・厚朴・半夏・通草・滑石・竹葉)湿熱邪留気分(湿勝熱微)に対する清熱除湿・芳化淡滲法を体現した方剤。

藿朴夏苓湯(藿香・淡豆鼓・白豆蔲・厚朴・半夏・杏仁・茯苓・猪苓・沢瀉・生薏苡仁)湿温による湿阻中焦(湿勝熱微)に対する燥湿芳化・上宣下滲法を体現した方剤。

●藿香正気散合猪苓湯の応用

 猪苓湯は、肺・脾・腎・肝四臓の補益とともに滋陰利水の効能を持ち、膜腠区域の水分代謝の異常に対し、一定の調整作用を発揮することが出来る。このような猪苓湯に、芳香化湿・昇清降濁の藿香正気散を加えると、様々な湿阻三焦の病変に対処することが可能になる。とりわけ、煎薬を嫌ってエキス製剤で対処せざるを得ない場合に、各種の加減正気散の代用として有用であり、藿香正気散に猪苓湯を加えるか加えないかの工夫で、かなり対処できる。つまり、一・二・三の加減正気散証では湿熱傾向がみられ、四・五の加減正気散証では寒湿傾向がみられるので、前者には藿香正気散に猪苓湯を加えて代用し、後者には藿香正気散のみで対処する訳である。

 藿香正気散合猪苓湯は、エキス製剤で簡単に作れ、梅雨期や夏期に特有な各種疾患、とりわけ「寝冷え」が原因で発症する各種の疾患に大変有用であるので、応用・工夫されたい。

 蛇足ながら、例年も梅雨から盛夏にかけて、藿香正気散が主体となる急性疾患が多い。併用方剤としては猪苓湯や銀翹散は勿論、西洋人参・生脉散・麦門冬湯・五苓散などを併用する機会もある。

参考文献:陳潮祖著「中医病機治法学」より、藿香正気散の加減方の五種を引用させて頂く

〔1〕一加減正気散(《温病条弁》)

 【組成】 藿香梗六g 厚朴九g 陳皮三g 茯苓皮六g 杏仁六g 神麹五g 麦芽五g 綿茵蔯六g 大腹皮三g
 【用法】 水煎して三回に分け、微温で服用。(原方は分量が少ないので、二倍に増量してもよい。)
 【病機】 三焦湿鬱・昇降失調。
 【治法】 芳化淡滲・疏利気機。
 【適応証】 三焦の湿鬱によって昇降が失調したために、胃📠部から腹部に連なって脹り、大便がスッキリと排出できないもの。

〔2〕二加減正気散(《温病条弁》)

 【組成】 藿香梗九g 厚朴六g 広皮〔柑皮(広陳皮)〕六g 茯苓皮九g 防已九g 薏苡仁一〇g 大豆黄巻六g 通草五g
 【用法】 水煎して服用。
 【病機】 湿鬱三焦・痺阻経絡。
 【治法】 除湿宣痺・芳化淡滲。
 【適応証】 湿邪が三焦で鬱滞したために、脘悶〔胃📠部が苦しい〕・泥状便・身体の疼痛・舌苔は白・脉象が曖昧模糊としているなど。

〔3〕三加減正気散(《温病条弁》)

 【組成】 藿香九g 厚朴九g 陳皮六g茯苓皮九g 杏仁九g 滑石一五g
 【用法】 水煎して服用。
 【病機】 気機不宣・湿鬱三焦。
 【治法】 理気化湿・兼以泄熱〔理気化湿とともに泄熱を併用〕。
 【適応証】 穢湿〔湿濁〕が裏に着し、舌苔が黄で📠悶し、気機が不宣で、遷延すると熱を醸すもの。

〔4〕四加減正気散(《温病条弁》)

 【組成】 藿香九g 厚朴六g 陳皮六g茯苓九g 草果三g 山梔子一五g 神麹六g
 【用法】 水煎して服用。
 【病機】 寒湿阻于気分〔寒湿が気分を阻碍〕。
 【治法】 温化湿濁。
 【適応証】 穢湿が裏に着し、邪が気分を阻碍し、舌苔は白滑・脉は右が緩など。

〔5〕五加減正気散(《温病条弁》)

 【組成】 藿香六g 厚朴六g  陳皮六g 茯苓九g 蒼朮六g 大腹皮六g 穀芽三g
 【用法】 水煎して服用。
 【病機】 寒湿阻中〔寒湿が中焦を阻碍〕。
 【治法】 運脾燥湿。
 【適応証】 穢湿が裏に着し、脘悶・便泄〔下痢〕など。
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posted by ヒゲ薬剤師 at 07:12| 山口 ☀| 中医漢方薬学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月24日

陰虚による舌炎・口内炎

 陰虚による舌炎・口内炎について

 麦門冬湯で有効であったべーチェットによるものも含めた口内炎や舌炎に、数例ではあるが同一の病人に対し、心・肺・腎に帰経して胃には帰経しないことになっている「西洋人参」を用いて比較実験してもらったことがある。結果は全例に有効で、べーチェット患者の場合では麦門冬湯以上に効果的であった。
 実験例が少数であるから速断は出来ないが、このことからすると、実際には西洋人参は胃にも帰経している可能性があり、さらには多少とも五臓の陰の大元締である腎陰をストレートに滋補出来る分、麦門冬湯よりも効果的なこともあり得るのかも知れない。

 陰虚が原因で引き起こされた舌炎・口内炎では、「腎陰虚」によるものがあり、また他臓の陰虚との併存によって誘発している場合もあるので、六味丸や麦味腎気丸・知柏腎気丸などが適応したり、あるいは麦門冬湯などと併用しなければならないこともある。

 方剤の選定時には、当然、主訴の舌炎や口内炎とともに一連の症候に基づいて弁証するが、経験上は舌証に陰虚の徴候が認められ、同時に腎陰虚の症候が認められる場合でも、胃弱を訴える者には腎陰虚に対する方剤は使用せず、西洋人参や麦門冬湯加西洋人参で様子を見ることにしているが、胃を傷害することなく効果的で無難という印象である。

 また、気陰両虚・心火旺盛で胃弱の口内炎には清心蓮子飲が良いが、漠然と陰虚証があって胃腸虚弱という場合は、脾陰虚の虚火上炎による参苓白朮散証などのことがある。舌が胖大である筈だから比較的鑑別しやすいようであって、現実には麦門冬湯証や清心蓮子飲証と紛らわしい。但し、筆者の経験では本証の口内炎は少数であった。

 舌炎・口内炎は五臓のいずれの陰虚でも虚火上炎によって発生し得るので、どの臓の陰虚が原因であるのか正確に弁証して適切な方剤を用いるべきである。もしも特定するのが困難であったり胃弱傾向がある者では、麦門冬湯や西洋人参あるいは麦門冬湯加西洋人参、ときには清心蓮子飲などで対処した方が無難であり、かつ有効であると思っている。

 また、胃弱の問題はなく、明らかに腎陰虚が併存している場合は、訳者は好んで麦味腎気丸の製剤を用いて麦門冬湯と併用したことが多く、幸いにいずれもかなりな即効を得ている。

 但し、陰虚による舌炎・口内炎と思われても、陰虚の誘発原因となった胃熱や気鬱化火あるいは五志過極などによる実火が残存していたり、別の原因による実火が併存している場合は、虚火と実火が互結している可能性が強いので、石膏類や黄連解毒湯・竜胆瀉肝湯など適量の清熱瀉火を併用すべきである。
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ラベル:舌炎 口内炎
posted by ヒゲ薬剤師 at 08:33| 山口 🌁| 中医漢方薬学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする